今やテレビや書籍などでも多く取り上げられるようになった発達障害。周囲から理解してもらえず苦しんでいる人も多いのではないでしょうか?
発達障害は年々増加している傾向があり、2012年の文部科学省の調査によると通常学級に在籍する児童・生徒の仲で発達障害の特徴を示す子どもは全体の約6.5%という結果だったようです。
これは、約15人に1人は発達障害の可能性があるということです。
これは本当に驚きです!
そんな発達障害はどんな障害なのか?また、その障害とどう向き合っていけばいいのでしょうか?
発達障害って何?
発達障害とは簡潔に言うと、生まれつき脳機能に問題があり、その人が過ごす環境や周囲とのかかわりの中で起こる不具合により、社会生活に困難が発生する障害のことを言います。
発達障害は理解することが非常に難しく、見た目だけでは分かりにくい事もあります。
その結果、本人は悪気なく行動しているつもりでも、やる気がないだとか変わった人だとか、努力不足だという誤解が生じてしまうことも少なくありません。
周囲の人に理解してもらえず、人間関係でつまづき孤独感と劣等感に悩まされることもあります。
そんな発達障害の主な分類と症状や特徴を紹介します。
自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)
自閉症スペクトラム(広汎性発達障害(PDD)とも言う)は、対人関係・社会性やコミュニケーション能力に障害があり、物事に強いこだわりがあります。
感覚が異常に過敏(または鈍感)だったり、柔軟に考えることや変化に対処するのが難しかったり、他の人の感情を共有すること、人に合わせて行動することが苦手というような特徴があります。
具体的な例
- 視線を合わせたり、自分の気持ちを伝えること、友達関係をうまく気づくことが難しい。
- 質問に対してオウム返しをしたり、単語だけの会話になる。
- 集団での共同作業が苦手だったり、遊びなどのルールが理解できない。
- 音、匂いなど特定の感覚に過敏だったり鈍感だったりする。
また、知的発達の遅れや言葉の発達の遅れがなくて、対人関係以外ではある程度の適応能力を持っている人はアスペルガー症候群と言われ、ASDの中の種類の一つです。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)
ADHDと言われるこの症状の特徴は、「不注意・多動性・衝動性」が社会的な活動や学業、日常生活に支障を来たすほどの人のことをいいます。
また、思い浮かべて考えることや話す必要のないことは話さないこと、気分や興奮状態の制御だったり、行動を分析して新しい行動を作り出す能力(時短や効率を考えること。)が低下しています。
具体的な例
- 忘れ物や大切なものをなくしてしまうことがあり、ミスが多い。
- 周りからの刺激で気が散りやすく、注意が散漫しやすい。
- 言われたこと、見たことをすぐに忘れてしまう。
- 思い浮かべたり考えることが苦手だったり、不適切なおしゃべりをしたりする。
- やる気が続かない傾向がある。しかし、こだわりや切り替えの悪さがあり、好きなことには熱中しやすい人が多い。
- 失敗して反省したとしても同じことを繰り返してしまう。
- 思いついたことをすぐに声に出してしまったり、突発的に行動してしまい衝動を抑えるのが困難。
- 順番を待つことや我慢することが苦手で、イライラしやすく思い通りにいかないと、些細なことで手が出てしまう。叱られたり、注意されることが多くなると、自信を失ったりやる気を失ったりする。
- 自己中心性が目立ち、ひどく反抗的な子どももいる。
しかし、ADHDは他の発達障害と違って、多くの子はその症状の程度や状況や年齢で変化するので、小学校高学年になると問題が少なくなり周囲に適用できるようになります。
大人になってADHDの症状が残ったとしても、本人の適した環境や適した職業を選ぶことで、のびのび生活できている人も多いようです。
ただ、極端に自信をなくしてしまったり、対人関係や自分の将来に大きな不安を持ったり、人間不信に陥ってしまうと様々な精神的な問題を起こしてしまいます。
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学習障害(LD)
学習障害は、全般的に知的能力の遅れはないが、聞く・読む・書く・計算などのある特定の分野において理解する事や能力取得に極端な困難さがあります。
また、不得意な部分が目立ってしまい、苦手意識のため苦手な学習や作業を拒否するような二次障害の問題にもなりやすいようです。
具体的な例
- 能力に偏りがあり一部の能力のみが劣っているので、周囲にそのことが分かりにくく、努力不足などと誤解されやすい。
- 読み書きに人一倍の努力が必要なので、疲れやすく頭痛が起こったりする。
- 目から入ってくる情報処理がスムーズに行うことが難しく、図形や似た漢字や文字が理解できないこともある。
上記では三つの種類の発達障害について記述しましたが、さらに細かく分類されています。
その人の特性や症状の程度は一人一人で異なっているので、必ずしもすべてが当てはまる訳ではありません。
また、いくつかの障害を合併している人もいます。
発達障害を活かせる!どうすれば?
子どもの頃は出ていた症状でも今では普通に生活をする事が出来ていたり、すごい人になっていたり(例えば、スポーツ選手やアーティストなど)する人も少なくありません。
なぜ生活に困難する人と普通に生活できる人に分かれてしまうのでしょうか?
それは、困難や苦手なことは、周りの人の対応だったり環境を調整したり、上手くやっていくやり方を身に着けることで緩和することもあるからです。
また、発達障害の場合は、出来ることと出来ないことの差が大きいということもあって、その人の出来ることの特徴をよく理解し、適切な支援をすることによってとんでもない能力を発揮する事もあります。
しかし、その特性・特徴を障害としてよりも個性や能力として発揮できるようにするには、周囲の人の理解や協力、支援が欠かせません。
発達障害の人はよく、「怠けている」とか、「努力しない」と捉えられがちです。
しかし、決して怠けていたり努力をしていないわけではありません。
脳の機能の偏りで自分をコントロールすることが出来ないでいるだけです。
なので、周囲の人たちはそのことをよく理解して接する事が大切です。
また、発達障害の人たちの中には、ちょっとしたことでイラだったり、その怒りを周囲に向けてしまってトラブルを起こしやすい傾向がある人もいます。
その怒りに対抗してしまうと激しい争いになってしまいます。
そのような時は、冷静に相手の気持ちを尊重しましょう。
発達障害の人は怒りの持続時間は長くない場合が多いので、相手に刺激せず一旦退き、怒りが収まった後に冷静に話し合うようにしましょう。
そして、ポジティブな感情は言葉にして伝えると良いでしょう。
発達障害の人は自分に対する評価が低く、自信がない人が多いです。
頑張っている事を褒めたり、努力している事に対して温かい言葉を伝えることで、本人の自己肯定感につながり、良い人間関係を築く助けになるはずです。
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まとめ
重複する点がありますが、発達障害は生まれつき脳機能の偏りによって社会生活に困難が生じてしまう障害です。
見た目は普通のように見られがちで周囲の人に理解してもらいずらいため、人間関係でつまずき、引きこもりになってしまったり、生活に不安を抱えながら苦しんでいる人が多いです。
しかし、その人の特徴を存分に発揮できることはたくさんあると言えます。
その人の特徴を理解し、苦手だったり出来ない事は周囲の人が協力・支援を適切に行うことによって、普通の人以上の力を発揮することも可能です!
一つの出来ないことによって、様々な問題に発展することもあります。そうならないようにするには、周囲の人の助けが大切なのです。
発達障害の方が出来ない事を攻め続けるのではなく、出来る事を褒め、自身をつけられるようにポジティブな言葉をかけましょう。
そうして人間関係を築く第一歩の手助けをするなら、発達障害でものびのび生活を楽しめるでしょう。
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